これまでけいれん発作を起こした場合の対応の仕方、もうろう状態への対応の仕方、救急車を呼ぶかどうかについて説明した。
日本てんかん学会はてんかん発作が疑われた場合の対応の仕方について、発作緊急カードを作った。そして患者がそれを持ち歩くことを薦めている。運悪く意識を失って倒れた場合に、発見した人あるいは介助する人がどうしたらいいのか書いてある。その要約をここに紹介しよう。
1. おそれず、あわてず、安全第一に考えてそっとしておいてください。
けがをしないように周囲の危険なものをとりのぞく。
移動はしないでください。隣の席をあけてゆっくりねかせる。
呼吸が楽になるように首のきついところをゆるめ、可能であればシートベルトをはずす。発作の時間が長くチアノーゼのあるときは酸素投与をする。
2.硬いものを歯の間に入れることをしてはいけません。
外傷の原因となりかえって危険です。
嘔気があるときや唾液が多いときは顔を横に向ける。
3.発作の様子を観察してください。
痙攣発作の状態、顔色、目の位置、手足の動きや左右差、体温などをチェックする。
4.発作が終わり意識が回復するまで必ず誰か側にいてください
目覚めたときに特に訴えがなく麻痺もないことを確認すれば普通の活動が可能です。頭痛があったりうつろで眠そうな場合はそのままそっと休ませましょう。
発作後のもうろう状態には抑制したり刺激したりせずにそっと見守ってください。短時間で治ります。
5.機内でできる発作時の治療として座薬の使用があります。
本人や関係者(主治医)からの依頼と了解があれば、上記の対応をしてけいれん止めの座薬を挿入します。発作が継続もしくは断続して10分以上つづく時、発作でひどい外傷があるとき、全身状態が極端に悪いときは、医療関係者と協議の上緊急に継続処置を依頼してください。
以上が第1ページに載ってあり、裏には本人の名前、生年月日、発作型、発作頻度、発作時の対応と現在の服薬している薬の名前と主治医の氏名、病院名と電話が書いてある。
このような緊急カードを持ち歩くと緊急な場合には役に立つ。この緊急カードは日本てんかん学会事務局にあるので、主治医を通して日本てんかん学会事務局に問い合わせれば手に入るでしょう。
「成人期てんかんの特色」大沼 悌一
(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)