6.フリーターについて (2003年9月号)

前回は通院公費負担(32条)についてお話しました。この補助を受けることによって、てんかんの外来医療費がきわめて安くできることがわかっていただけたとおもいます。

今回は働くことについて考えましょう。

最近の若い人々にいわゆるフリーターが多く見られるようになりました。働く能力もあり、学歴もあるのだが、定職にも就かず、アルバイトなどやりながら自由に過ごしている人たちのことを言うようです。就職難ということもありますが「自分に合った仕事が見つからない」というのがその理由のようです。私から見ればなんと贅沢な話なんだろうと思いますがおかしいでしょうか。「自分にあった仕事」などはそんなに簡単にみつかるはずがないし、そもそも「どういう仕事が自分のやりたい仕事か」、自分のやりたい仕事のイメージをしっかりと頭に描いているかどうかさえ疑わしい人が多いと思います。私は最近ある大学の校医として精神保健相談を引き受けていますが、卒業しても気にいった仕事が見つからないので、やむなく大学院修士課程に進んだ人が多くなってきました。そして大学院修士課程を卒業するときにも再び同じような問題に遭遇するので、大学院浪人が多くなっています。そのような人によく見られる共通点は次のような点です。

1. 意欲に乏しい。力強さが感じられず、ひ弱な印象をうける。

2. 現実的ではない。夢のような将来を考えているか、常に迷っているか、あるいは将来の展望などは何も考えていない人が多い。

3. ストレスに弱い。他人の何気ない言葉で容易に落ち込みやすい。最近「言葉の暴力」ということがよく聞かれます。特に上司や異性の友達からの一言がたいへん体にこたえる場合が多いようです。すこし打たれ強くなりましょう。少々の「言葉の暴力」でもへこたれない精神力がほしいものです。

4. 社会性が貧弱である。人間嫌いになり、閉じこもってしまう人が多くなりました。

以上のことはてんかんという障害を持っている人でも当てはまるようです。

最近は脳の外科治療で発作が完全に止まった人も多く見受けられるようになりました。学歴もあり、体に不自由もないし、能力もあるので、発作が止まったら、なんでも仕事が出来そうに思えるのですが、そう簡単にはいきません。ある日突然発作が無くなったので、戸惑っているケースがでてくるのです。そして「意欲に乏しい」、「現実的でない」、「ストレスに弱い」、「社会性が貧弱である」などのこれまでの欠点が表に出てくるのです。

そこでリハビリテーション、社会復帰の訓練が必要になるのですが「意欲のない人」を動かすことはなかなか容易ではありません。私の患者さんでも、脳外科医にお願いして手術をしてもらい、成功して発作がなくなったが、どうしても社会復帰が出来ない方がいます。

このような方にも今後引き続き根気よく働きかけていきますが、外科手術の適応の条件として「意欲があり、発作が止まったなら社会復帰が可能」という一項目を付け加えようかなと思っています。

「成人期てんかんの特色」/大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)

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