てんかん最前線:てんかんの診断ガイドライン(日本てんかん学会編)(2010年8月号)

日本てんかん学会ガイドライン作成委員会は「てんかんの診断」に関してガイドラインを発表した。てんかんを診断する際の注意書きである。なぜこんな注意が必要かというと、てんかんではないてんかん類似の疾患・状態が多いので、間違わないようにとの親心からである。

そこではまず、誰が診断すべきかというテーマが出てくる。てんかんの診断は経験が豊富な専門医によることが望ましいとある。的確なてんかんの診断・治療はそれなりの経験が必要であるとの意見であり私も賛成である。

てんかんの定義は「突発的発射に由来する反復性(2回以上)発作を主徴とする脳疾患」であると書かれている。反復性ということが大切で、少なくとも2回以上の発作がなければならない。1回だけしか起こらない発作はてんかんとは呼ばない。急性代謝性疾患や薬物中毒、薬物離脱などは1回だけで終わることもある。

状況関連性発作というのがここに出てくる。てんかん発作に似ているもののてんかんではない発作のことである。

この種の発作を偽発作と呼び、小児では息止め発作、軽症下痢に伴う発作、入眠時ピクツキ・悪夢、かんしゃく、チック、失神、急性代謝性障害(低血糖、テタニー)などがある。

成人では失神、心因発作、脳卒中、不整脈発作、頭部外傷、急性中毒(薬物、アルコール)、薬物離脱、急性代謝性障害(低血糖、テタニー)、急性腎障害などがある。最近では抗精神病薬(抗うつ薬、抗不安薬)の乱用による発作も目立つようになった。これらは真のてんかんではないので、むやみに抗てんかん薬を投与すべきではない。

てんかんの診断に関してはどのようなタイプのてんかんかという「てんかん類型」の診断にも踏み込んだ見解が必要となってくる。少なくとも局在関連発作か全般発作かぐらいは鑑別できるのが望ましい。なぜなら国際分類に該当しない、いわゆる「分類不能てんかん」の中には真のてんかんかどうか疑わしい場合も多いからである。

脳波はてんかんの診断に重要な検査である。しかし脳波でてんかん性異常波が検出されても、それが臨床発作症状を説明しうるものでなければならない。

脳波にてんかん性異常波が出たからといって、直ちにてんかんと診断するのは危険であり、逆にてんかんであっても脳波に異常が出ないことはたびたびある。得られた脳波異常がてんかん発作の臨床症状を説明しうるということが重要である。疑わしい場合はビデオ・脳波同時記録が望ましい。

てんかん発作を起こした患者は原則として神経画像写真(CT,MRI)を受けるべきである。なぜなら脳腫瘍などの可能性があるからである。最後に問題があれば「専門機関に迷うことなく紹介する努力が重要である」と記載されている。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)

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